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【会話で覚える】シチュエーション別業界用語集

多くの新入社員が頭を悩ませることのひとつに職場で飛び交う専門用語があります。
ここではそんな分かりづらい単語を会話形式にまとめました。
習うより慣れろの精神で、あなたも真似してどんどん業界用語を使ってみましょう。

マークの付いたテキストをクリックすると詳しい説明が表示されます。

「プレゼン」篇

まずプレゼンテーションに勝たなくては仕事が始まりません。
それだけにプレゼン作業のお手伝いにも力が入ります。

  • 手空いてる?
    キョウゴウプレの作業があるから手伝って欲しいんだけど。

  • いいですよ。
    オトクイはどこですか?

  • 建築メーカーだよ。
    ブイコンも作ることになるかもしれないからポスプロに声を掛けておいて。

  • わかりました。
    それと、コンテライターのスケジュールを押さえておきます。

  • 過去のCMのトンマナも踏まえつつライターを選んで。
    あ、これが企画資料ね。はい。

  • (読みながら)ブラサガリがあるんですね。
    例えばこの案とかは絵よりもアリネガで作ったほうが良いですかね。

  • そうかもね。
    で、見積も出さなきゃいけないんだよね。概算でいいんだけど、ロケセットも調べてもらえる?

  • はい。
    シロホリの企画もあるみたいですから、そっちの見積もとっておきます。

  • ありがとう。
    ショゴウシシャが再来月末ぐらいかな。そうするとプリント入れてもオンエアに間に合うか。

  • 意外と時間が無さそうですね。
    スケジュールの細かいところは作っておきます。

競合プレ

競合プレゼンテーションのこと。
広告主企業が、複数の広告会社に企画案、見積書、スケジュールなどの提出とプレゼンテーションを求め、審査の上で発注先を決めること。競合コンペも同義。
これに勝たない限り、制作の仕事はスタートしない。

お得意

特技のことではない。広告主企業のこと。クライアントとも呼ぶ。
一般企業が常連のお客様を「お得意様」と呼ぶように、広告業界では広告主のことを「お得意様」「お得意」などと呼ぶ。

Vコン

ビデオコンテの略。
企画内容、演出内容をクライアントにプレゼンする際は基本的に絵コンテを用意するが、より分かりやすく伝えるために映像化することもある。
絵コンテを紙芝居的に動かしたものから、既存の他の映像から類似するカットを抜き出し、コラージュしてつなぎ合わせ、音声や音楽までつけた手の込んだものまで多様。

ポスプロ

ポストプロダクションの略。編集、 CG制作、MA(音響編集)、ナレーション録音など、撮影以降の作業および作業を行うスタジオや制作会社。
特に編集スタジオの意味で使われることが多い。

コンテライター

絵コンテを作成する専門のイラストレーター。個人で活動しているライターもいれば、多数のライターが所属するデザイン会社もある。
画風はライターによって異なるため、企画の内容によって、依頼するライターを選ぶことも多い。

トンマナ

トーン&マナー。元は、広告におけるデザインやコミュニケーションに一貫性を持たせることの意。
転じて、ブランドの持つ雰囲気やコンセプトそのものの意味で用いられることも多い。
決して「頓馬な(=馬鹿げた)」などと誤解しないように。

ぶら下がり

CMの最後の数秒間の、各地域向けの告知や、期間限定のキャンペーン情報など本編とは別に付加される部分のこと。

アリネガ

使用頻度の高そうなシチュエーションを想定してあらかじめ撮影された写真素材のこと。レンポジ、ストックフォト、レンタルフォトなども同義。
動画の場合はフッテージと言う。
各業界の伝統的な作業工程によってか、CM業界では「アリネガ」、印刷業界(およびその流れを組むWeb業界)では「レンポジ」と呼ばれることが多い。
つまりCM業界ではネガフィルム、印刷広告業界ではカラーポジフィルムが使われることが多かったことに由来する。

ロケセット

専用の撮影スタジオではなく、あらかじめ建っている建物を利用した撮影場所。大掛かりな美術セットを制作する必要がないメリットがある一方で、専用のスタジオほどは照明などの機材が揃っていないというデメリットがある。

白ホリ

敵の侵入を防ぐために城の周囲を掘って水を貯めた場所、ではない。白いホリゾント(幕・壁)のこと。CM用の専用スタジオの床面、壁面は基本的に白色に塗られている。
すべての編集作業が完了し、クライアントの最終承認も終えたもの。
また、床と壁は垂直ではなくアール(なめらかな曲線)でつながっている。

初号試写

本編集までの全制作工程を終えて、最初にクライアント確認に回す映像のこと。初号とも。
これでOKがでないと、いつまで経っても納品できないのでスタッフは非常に緊張する瞬間でもある。
基本的に修正指示がすでに反映されているもので、仮に修正が発生したとしても、二号試写、三号試写と番号が増えていくことは基本的にない。

プリント

完成したCM映像を収録した原版テープを元に、テレビ局で放送に用いられるテープを複製すること。
プリントされたテープを納品することでCM制作作業が完了する。
ただのVTRテープだと思って粗末に扱うと先輩や広告会社の人にどやされる。

「オフィスワーク」篇

撮影を間近に控えたPICT制作センターのオフィスで交わされるプロデューサーとプロダクションマネージャーの会話です。

  • 明日のロケの天気どうだろうね?
    ウェザーニュース頼んでる?

  • 頼んでますよ。
    特にゲキシャの受取とか注意します

  • 確かにね。交通量も多いところだしね。
    ニンジンも多めに持って行こう

  • じゃあ、昼ごはんの後、
    ゴゴイチから準備に取り掛かります

  • OK。
    小道具だけどロケセットアリモノ
    大丈夫そうだから、特に準備しなくていいよ

  • 助かります。
    じゃあ夕方にコウバンを印刷しましょうか

  • そうだね。
    そういえばピーピーエムの返事あったみたいだけど、クライアントの担当者にケツがあるって。
    全体的にマキめにするか、商品カットを他とテレコにして前に持ってくるかしなきゃなあ

  • このエキストラが出てくるカットを後回しにしますか?
    キャスティングに調整できるか聞きます。
    最悪はウチトラでもなんとかなりますしね

  • それでいこう!
    ギャラはトッパライで当日渡しだっけ?

  • そうです。
    そういえばヘアメイクの方は
    サンナラビで話がまとまりました

  • ありがとう。話は変わるけど、
    ブイコンに使ったフッテージってベーカム?

  • 元はそうですが、
    データにしてますよ

  • わかった。
    じゃあオールスタッフの時に配った資料のデータも合わせてもらっといていい?

  • はい。
    イラレで作ってます

  • ああ、これね。
    もう昼かあ。サクメシにしようか

  • そうしましょう。
    いつでも出れますよ

ウェザーニュース

株式会社ウェザーニューズの提供する天気予報。
ロケを決行するかどうかの天候判断において、
NHKの天気予報よりもYahoo!の天気情報よりも優先される。
現地でスタッフに「ぜんぜん晴れてないじゃん!」と言われても
「ウェザーニュースが晴れるって言ってました」と
答えればひとまずは安心である。

ゲキシャ

劇車。
劇中で使用される撮影用の車。自動車のCM撮影も多いピクトにおいて比較的接する可能性の高い用語。クライアントである自動車メーカーから貸し出される場合が多い。
撮影では車専門の外部スタッフを手配することも多く、取り扱いは慎重を極める。一度でも劇車の撮影を経験してしまうと、日常生活でレンタカーを借りた際の事前の傷チェックがものすごく念入りになるという職業病を患う。

ニンジン

工事現場などの警備員が持っているオレンジの誘導棒のこと。
誘導灯、赤灯、合図灯などとも。交通法上の正式名は赤色灯。
ロケ撮影等、公道上で作業を行う際に利用すると、一般の通行人に対する説得力が格段に増す。
その形状からライトセーバーに見立てられることもあるが、青や緑は存在しない。

ゴゴイチ

午後になってすぐの時間帯のこと。カレー店ではない。
「イチ」が「午後1時」を指すか、「午後の営業時間開始直後」を指すかは意見の別れるところなので、厳密に約束時間を決める際には利用しないほうが無難。
「なるはや」などと同様、やんわりとニュアンスを伝える際に重宝する、日本人固有の衝突回避策のひとつ。

ロケセット

撮影スタジオではなく、あらかじめ存在する建物を利用して撮影できる場所のこと。
通常の撮影スタジオで撮影を行う場合は大掛かりな美術セットを組むことも多いが、もともと存在する建物でイメージに近いものを見つけられた場合、セットを組む必要がなくなり、美術費を圧縮することができる。
必ずしもロケ地のすべてが撮影に好意的とは限らないので、場合によっては根気強い交渉が必要。

アリモノ

有り物。あらかじめあるもの。
ロケセットと同様、一般的な撮影スタジオでの撮影の際は、さまざまな小道具を用意する必要があるが、ハウススタジオ(もともと存在する家やマンションを使ったスタジオ)などでは、家具や食器などがあらかじめ備え付けてあるため、撮影にそのまま利用することができる。
何があって何がないか、撮影前にあらかじめ確認することが大事。

コウバン

香盤。香盤表とも。
撮影時間、撮影の順番、内容などをまとめたスケジュール表のこと。
元来、香道において香を置くための盤のことを指す。
香道の香盤は、縦横の直線で升目状に区切られ、線香を立てるために丸い穴が開いている。
演劇のスケジュール表も升目状で、出演する役者の欄に丸をつけるため、形状が似ており、ここから転じて香盤と呼ばれるようになったとされる(他にも諸説あり)。
業界人なら誰でも知っている言葉だが、語源を知る人は少ないため、解説すると、ごく短期間だけは雑学王として君臨できるかもしれない。

ピーピーエム

PPM。
プリ・プロダクション・ミーティング。撮影前に行われる最終確認のミーティング。
企画、演出案、美術セットのデザイン、出演者、ロケ地、衣装、スケジュール、予算などについて、広告主、広告会社、制作会社の間で認識に齟齬が無いよう確認するための会議。
原則、PPMで決められた内容に従って撮影や編集は行われる。その際に使用される資料は、PPM資料と呼ばれ、制作会社が作成することが多い。社外秘情報が満載のため、取り扱いには注意が必要。

ケツ

お尻。転じて「終わり」の意。
例えば、「ケツがある」とは「お尻がある」ということではなく、確保できる時間に終りがある」つまり「次の予定がある」という意味。
「ケツを持つ」とは「お尻を持つ」ということではなく、「撤収時の後片付けや現状復帰を責任者として担当する」という意味。
「ケツに入れる」とは「お尻に挿入する」ということではなく、「スケジュールの最後に予定や動作などを付け足す」という意味。

マキ

巻き。「急ぎ」の意。動詞型は「巻く」。
語源は諸説あり、「ゼンマイのネジを巻く」=「早く動いてほしい」ということとも、「時計の竜頭を巻く」=「時間を進める」ということとも言われる。
反対に「遅れる」ことは「押す」と言われる。
特に「巻き」と言わずとも、常に急ぎ足で動きがちなのが映像業界の特色。

テレコ

入れ替え、あべこべの意。
「AとBをテレコにする」とは「AとBを入れ替える」の意味。
「AとBがテレコになっている」とは「AとBがあべこべになっている」の意味。「人の『手』を入『れ』て交互(『こ』うご)にする」が語源とされる。歌舞伎で2つの異なる筋の話を1つの脚本にまとめ、交互に進行させることに対して使われはじめ、それが関西弁として定着、そこから全国に広がったとされる。『香盤』と同様、語源を知っている人はさほど多くないはず。

キャスティング

配役のこと。転じて、配役を担当するスタッフのこと。
制作会社が芸能事務所に直接的に仕事を依頼することは少なく、キャスティング会社を通すことが大半。例えば「30代男性」の役者が必要であれば、キャスティング会社にその旨を伝えると、複数社の芸能事務所に声をかけ、スケジュール面、金額面も含めて条件に合致するタレントや役者を選考してくれる。

ウチトラ

内トラ。内部のエキストラ。
CMに出演するエキストラは、基本的には芸能事務所に手配してもらうが、予算面での制約、突発的な事態、あるいはキャラが合致するなどの理由で、制作スタッフが映像に出演することがある。

トッパライ

取っ払い。
ギャラの当日現金払いのこと。エキストラなどに多い。
会社などの法人に対してではなく個人に対して支払われることが多いため、当日は額面通りではなく、そこから源泉徴収を引いた金額を支払うことが多い。

サンナラビ

3並び。
映像業界にはフリーランスのスタッフも多いが、彼らは法人には所属しない個人事業主である。そのためギャラには1割の所得税が課税される。そのため、税金を引いた手取りを3万円にするためには33,333円をギャラとして設定する必要がある。この3だけが並んでいる様を指して3並びという。
なお平成25年1月からは復興特別所得税も課税されることになったため、手取り3万円にするためには請求額を33,411円にする必要がある。ゆえに正確には3並びという用語は使えなくなった。

ブイコン

Vコン。ビデオコンテの略。
企画内容、演出内容をクライアントにプレゼンする際は基本的に絵コンテを用意するが、より分かりやすく伝えるために映像化することもある。絵コンテを紙芝居的に動かしたものから、既存の他の映像から類似するカットを抜き出し、コラージュしてつなぎ合わせ、音声や音楽までつけた手の込んだものまで多様。

フッテージ

映像素材の意。ストック・フッテージとも。
撮影されているが未編集の動画素材。
これらを販売する専門の会社もある。
基本的に、有名タレントは出演せず、小道具の商品名も特定できない、汎用性の高い映像が多い。

ベーカム

β(ベータ)カムの略。
映像業界では、一般的に有名なVHSやminiDV以外にも多くの種類のテープが使用されるが、その中でもテープ、再生デッキのいずれも比較的安価で入手しやすい。
編集の途中経過を仮に記録する、集めた映像資料をまとめる、他の高級なテープを再生できない環境での映像内容の確認用、といった使い方をされることが多く、完成品のマスターテープとして使われることはほとんど無い。
デジタルデータ化、DVDの普及が進んだ今では、以前と比べて使用頻度が減っている。

オールスタッフ

直接的には「すべてのスタッフ」の意味だが、「オールスタッフ打ち合わせ」を指すことがほとんど。
広告会社の担当営業やクリエイティブディレクター、コピーライターなどから、プロデューサー、プロダクションマネージャー、ディレクター、シネマトグラファー(カメラマン)、ライティングディレクター(照明技師)、美術デザイナー、スタイリスト、エディター、CGプロデューサーなど、多くのスタッフが集って開かれる大詰めの打ち合わせ。ここでの内容をベースに「PPM資料」(詳細は「ピーピーエム」を参照)が作られる。

イラレ

Adobe Illustratorのこと。
イラストや印刷物を制作・編集するためのソフトで、映像業界にとどまらず、多くのクリエイターが使用しているソフト。デザイン制作向けのソフトのため、レイアウト等の自由度が高く、プレゼン資料などの作成にも愛用するスタッフも多い。
ただし、Microsoft PowerPoint(略称「パワポ」)等と比べるとファイルサイズは重くなりがちなので要注意。同様に多用されるAdobe Photoshopは「フォトショ」などと略される。

サクメシ

サクッと食べる飯。
「サクッと」とは「軽く」「さっと」「時間を掛けずに」などの意味。「巻く」と同様、社会人になってから使用頻度が途端に上がる言葉。社会人生活におけるスピード感の重要さを物語っている。

「撮影現場」篇

さあ、いよいよ撮影本番です。
一瞬も気の抜けないスタジオでの制作スタッフの会話です。

ドウロク

同録。同時録音の略。
映像業界においては、映像と音声を同時に収録することを指し、台詞のある演技を撮影する場合は基本的に同録となる。撮影開始前の「同録ですので携帯電話の電源をお切りください」のアナウンスは撮影現場でよく聞かれる。
咳やクシャミも、もっての他であるが、緊張感ゆえか意外と出ないものである。

ショウヒン

商品。
CMで宣伝される商品そのもので、自動車のCMであれば自動車、飲食物のCMであれば飲食物である。クライアントから貸し出され、撮影終了後は返却することが基本なので、非常に慎重に取り扱われる。また、新発売商品の場合は、守秘も厳重に行われる。
より魅力的に撮影するため、角度や照明、操作音の収録などにも細心の注意が払われる。

ヤオヤ

八百屋。
机の上に置かれた食器の中のものを撮影する際など、通常の角度では内容物が見えにくい場合に、角度をつけてカメラに映りやすいように細工すること。八百屋の店頭の陳列台が斜めに角度のついていることに由来する語。

ヌケ

抜け。
カメラ側から見て、演技などが展開される手前の空間ではなく、その奥にある物や風景のこと。
余計なものが映り込んでいる可能性もあり、撮影後はやり直しが効かないので、各スタッフで慎重に確認する必要がある。

ミキレル

見切れる。
本来、撮影されるべきでない人や物などが、カメラアングルの中に入ってきてしまうこと。しゃがむ、物陰に隠れる、移動するなどの対処が必要。
タレントだけが映っている映像でも、その足元や家具の裏などに実はスタッフが隠れていることも多い。

ワラウ

笑う。
画面上に物が映り込まないように移動させること。
「はける」や「逃がす」とも。作業の際に笑顔である必要はない。

バミル

バミる。
人の立ち位置や物の位置などを床面に記すこと。「場を見る」=「全体を見て位置を決める」ことが語源とされる。
パーマセルなどの剥がしやすいテープで記すことが多い。例えば、人の立ち位置を示す場合は、つま先のラインを横棒にしたT字型のかたちで示すことが多い。
撮影のスムーズな進行のため、後々に確認できるよう記録しなければいけないが、その一方で実際の映像には映ってはいけないため、上手に「バミる」には慣れが必要。

パーマセル

パーマセル社が開発したマスキングテープのこと。
粘着力が良い割に、剥がした際にテープ跡もつかず、物も傷つけないため、「バミる」際やそれ以外の用途にも重宝する、非常に便利なテープ。
白いパーマセルは「白パー」と略され、表面にペンで書き込むこともできる。同様に黒いパーマセルは「黒パー」と略される。
「バミる」際には、多くの場合、貼り付けても目立たない方の色を選んで使用する。

ハコウマ

箱馬。
木製の箱で、被写体の高さを上げる際や、踏み台、場合によっては簡易的な椅子として利用する。
様々な大きさのものがあるが、ひとつのスタジオ内にあるものは基本的に規格が統一されている。標準的な大きさは縦1尺(約30cm)×横1尺5寸(約45cm)×高さ5寸(約15cm)。
高さが半分のものを「ハーフ」、4分の1のものを「クオーター」、8分の1のものを「パンケーキ」と言う。

セッシュ

人や物などの被写体の下に踏み台などを入れて、高さを上げること。
1920年ごろからハリウッドで活躍した日本人俳優の早川雪洲が語源。アメリカ人女優に対して身長差をつけるために踏み台を利用したことから。人だけでなく物に対しても使われる言葉。

ジュンドリ

順撮り。
ストーリーの順に撮影を進めること。内容の理解をスタッフ間で共通化するためには順撮りが理想的だが、セットや照明の変更は大掛かりな作業になるため、実際の撮影では、それらの変更の手間が最小限になるように撮影カットの順序を組み立てることが多い。
いかに効率良い「香盤」(詳細はオフィスワーク篇の「コウバン」を参照)を組み立てられるかは、プロダクションマネージャーの腕の見せどころである。

エキストラ

通行人や群衆などの端役のことも「エキストラ」というが、ここでは「特別」や「追加」の意味。
基本となる演出プランに加えて、追加で別バージョンの演技やカメラアングルで撮影したものを「エキストラカット」もしくは「エクストラカット」と言う。

カラブタイ

空舞台。人がいない無人の状態で撮影すること。
後々、編集の段階で変更が発生した際などにあると便利なため、撮影しておくと無難。
一度、カメラの位置や照明を動かしてしまうと、同じ状況を再現するのは大変なため、ひと通り演技が終わった直後や、空き時間に撮影するのが基本。

オンリー

映像を伴わない音声のこと。
タレントがナレーションも担当する場合、ナレーション録音のために別日でスケジュールを押さえることは効率が悪いため、撮影終了後にスタジオ内でナレーションだけを録音することが多い。

テッペン

24時のこと。時計の針が「てっぺん」を指すことから。
その意味では、昼の12時も針の位置は同じだが、基本的には深夜の24時のことを指す。

ドンカマ

ドンカマチックの略。ここでは音楽に合わせた映像を撮影するためのガイドリズム音のこと。
京王技術研究所(現コルグ)が発売した日本初のリズムボックス。商品名ではあるが、リズムボックスやガイドリズムを指す一般名詞のように使われている。

ウエス

汚れや水分を拭き取るための布。「無駄」「ぼろ」などの意味の「ウェイスト(Waste)」が訛ったもの。
拭き取れれば良いため、使い古しのもので可。ウエスとして古布や端切れがまとめ売りされているものもあるが、通常のタオルを使う場合もある。まったく同じタオルでも、ヘアメイク用に使う場合は「タオル」、撮影現場での拭き取り用に使う場合は「ウエス」と呼び分けられる。清潔さが必要かどうかが境界線。

スタンドイン

アングルを決める際にタレントの代わりにカメラ前に立つ人。
身長や顔の系統、肌の色などがタレントと似ている人を芸能事務所から手配してもらう。本番で使用される衣装と色合いや生地が似た服を着て、カメラ前に立ってもらうことで、タレント本人がメイク等の準備をしている間に、照明やカメラアングル等のセッティングを同時進行することができる。撮影時間短縮のため、タレント撮影がある場合には基本的に手配する。

シュート

撮影すること。
「13時シュート」といえば「13時から撮影する」という意味。

ターゲット

CGや合成など、大掛かりな編集が必要な際に、撮影時のカメラの動きを計算しやすくするための目印。黒と白の格子模様が基本。
高性能な編集機器では、特定の箇所が映像内でどのように動くかを自動追尾できるが、その際にコントラストが強い方が正確に判定できて、作業を効率化できる。文章にすると難しく聞こえるが、実際の撮影時の作業としては紙を壁などに貼るだけの簡単な仕事。

ガバチョ

ガムテープのこと。
ガムテ、ガムなどと略されていたが、言いやすさ、聞き取りやすさからガバと言われるようになり、そこから人形劇「ひょっこりひょうたん島」のキャラクター、ドン・ガバチョにかけて「ガバチョ」と言われるようになったという。
近年ではガムテと言われることが多いが、TOYOTAのCMにドン・ガバチョが登場したので「ガバチョ」もリバイバルするかも?

イントレ

俯瞰(上から見下ろすアングル)での撮影用に組み立てられるやぐらのこと。
「映画の父」と呼ばれるD.W.グリフィスが1916年に発表した代表作『イントレランス』が語源。当時としては壮大な俯瞰シーンを撮影するために組まれたやぐらを「イントレランス」と呼ぶようになり、やがて略され「イントレ」というかたちになったという。

「編集」篇

無事に撮影は終了。でも制作作業はこれからが佳境。
編集スタジオにこもって仕上げを急ぎます。

スクリプト

撮影内容をわかりやすくまとめた表のこと。
ひとつのカットについて一回だけ撮影することは非常に稀で、微妙にアングルの違うもの、演技や台詞の言い回しが違うものなど、さまざまなバリエーションを撮影するため、それぞれのテイクの何が異なるか、どれがOKテイクで、どれがNGテイクかなどを表にまとめる。作成は地味に大変な作業。

カットヒョウ

カット表。
仮編集(1度目の編集。内容構成の承認を得るための確認用の編集で、CGや音楽などの作成作業は簡易的なものにとどめる)の終了後、各カットの静止画、台詞、テロップなどを表にまとめたもの。打ち合わせの際の確認用資料として用いられるので、静止画として切り出す瞬間は慎重に選ぶ。

イーディーエル

EDL。Edit Decision Listの略。
仮編集で組み立てた構成で、どの素材のどのタイミングを使用したかの記録。仮編集と本編集では別の編集機器が使用されることが多いが、EDLを本編集機に読み込ませることで、仮編集の状態を効率的に再現できる。

シーアイ

CI。コーポレートアイディンティティの略。
本来の意味は、企業理念や独自性を整理し、企業内外で共有することで企業活動の向上につなげること。その中でロゴを新しくすることも多いため、ロゴを新しくすること自体がCIと理解されることも多い。 さらに転じて、この会話では、CM編集の際に必要となるスポンサーのロゴを指す言葉となっている。

カラコレ

カラー・コレクションの略。映像の色合いを調整する作業のこと。
撮影素材は必ずしもすべてが同条件で撮影されるわけではないため、撮影後のカラコレで改めて色のトーンを調整する。フィルムで撮影された映像の場合、「テレシネ」という作業で、映像を一度ビデオに変換する必要があるが、この際にあわせて「カラコレ」も行う。
カラコレはカラリストが担当するが、日本国内に数十人しかいない専門職中の専門職である。

マスモニ

マスターモニタの略。
テレビは機種によって発色が異なるなど、表示にバラつきが出るため、色合い等の最終判断の基準として使われる高価なモニターのこと。編集機の横に設置されることがほとんど。
映像のデジタル化が進む中で、その存在意義を問う声もある。

シシャ

試写。編集された映像の確認上映のこと。
編集の節目では、クライアントの担当者が立ち会うことが多いが、そこで調整した映像をDVD等に焼いて持ち帰ってもらい、クライアント社内で決裁を仰ぐ。
試写を含めた編集のスケジュールはオンエア日から逆算して調整される。

クロミ

黒味。全面真っ黒な映像のこと。
映像と映像の切れ目などに使用する。
反対に真っ白な映像のことを「白味」という。

クレジット

クライアント名、CMタイトル、CMコード、制作日などを記載した表のこと。
編集内容を記録する際に、映像の本編がはじまる前に数秒間入れる。
見出しとして機能するだけでなく、テレビ局がオンエアするためにも必要な情報となる。

カンパケ

完パケ。完全パッケージメディアの略。
すべての編集作業が完了し、クライアントの最終承認も終えたもの。
「完成原版」「マスター」などとも。

シロカン

白完。白完パケの略。
完パケの映像から文字要素などのタイトルを抜いたもの。
後にタイトル違いのバーションを制作することになった場合にベースとして使用されるなどの用途がある。

ノンモン

ノン・モジュレーションの略。CMの最初と最後に設けられる、それぞれ0.5秒の無音声部分のこと。
テレビでCMが連続して再生される際に、音声の切れ目が無いと視聴者に違和感を与えるため必ず用意される。

タイトルアンゼン

タイトル安全フレームの略。タイトルセーフティーとも。
テレビの機種や設定によっては、画面上にすべての映像が表示されるとは限らない。そのため、特にタイトル(文字要素)については、端までいっぱいには広げず、タイトル安全フレームの中に収まるように配置される。
ブラウン管テレビが中心だった時代は、画面端の湾曲している部分を考慮し、全体の80%までに収まるように調整していたが、平面のテレビが増えた現在は90%をタイトル安全フレームとすることが多い。

ザブトン

座布団。
タイトルなどの文字要素をそのまま配置すると背景の映像と混同して読みにくくなる場合、読みやすくするために文字の背景に色ベースを敷くこと。
ちなみに、編集の最終日には編集室にクライアント、広告会社等の人が大勢押し寄せ、しばしば、すし詰め状態になるが、さすがに床に座る人はいないので本物の座布団を用意する必要はない。

エムエー

MA。マルチ・オーディオもしくはマルチ・トラック・オーディオの略。
映像用の音声の編集作業のこと。映像の編集機器とは別の機器を使用して、専門のスタッフが行う。撮影時の録音スタッフがそのまま行うことも多い。ナレーション録音も合わせて行われる。CM編集作業の最終段階。

ナレゲン

ナレーション原稿のこと。
ナレーションの文面だけを印刷して用意する。
プロのナレーターによる収録の元になるものなので、誤字脱字等のミスがないように注意が必要。

マクロス

超時空要塞ではない。
CMのタイトルデザインを中心としたデザイン事務所。
手書き風なども含めさまざまなフォントでのタイトルづくりを発注可能で、見本帳を眺めてフォントを選ぶことができる。
会話中の7や12は見本帳の番号。

ショーショー

CM本篇のみの映像=「show-in show-out」の略。
CM映像をテレビ局に納品する際には30秒や15秒のCM本篇だけを納品するのではなく、放送事故防止のため、最初のフレームと最後のフレームをそれぞれ3秒間伸ばす必要がある。つまり30秒のCMでは36秒の映像を、15秒のCMでは21秒の映像を納品することになる(他にもカラーバー等の映像信号も必要。詳細は「オンエアフォーマット」を参照)。
しかし、単純にCMの内容を確認するためのDVDを作成する場合などは、前後の引き伸ばしは不要で15秒や30秒の本篇があればよい。この本篇部分=「show」に始まり、「show」に終わるフォーマットのことを「show-in show-out」、略して「ショーショー」という。

オンエアフォーマット

完成したCM映像をテレビ局に納品する際のフォーマットのこと。
放送事故を防ぐためCM本篇だけではなく、前後に映像の余裕をもたせ、映像信号や音声信号を付け足す必要がある。具体的には、カラーバー(白、黄、シアン、緑、マゼンタ、赤、青などの帯が並んだ画面。深夜のテレビで番組の無い時間帯に見られる画面)を45秒以上、クレジット(クライアント名やCMのタイトルが記載された画面)を12秒、本篇の最初の映像を静止画として3秒間引き伸ばした後に本篇を入れる。本篇が終わった後も、最後の映像を静止画として3秒以上引き伸ばす。
本篇が始まるまで1分以上かかるため、試写などで用いられる内容確認用のDVDを作成する際にはこのフォーマットは使用されず、ほとんどの場合「ショーショー(詳細は「ショーショー」を参照)」で作成される。試写用のDVDに厳密な秒数の取り決めは無いが、「オンエアフォーマット」に対して「試写用フォーマット」とも言われる。

「夜のオフタイム」篇

ひと仕事終えたら、気分転換とばかりにぱぁ~と一杯やるのも仕事のだいご味のひとつ。
宴会前は楽しい会話が弾みます。

  • (メニューを見ながら)どれも美味しそうですね!
    さっきからシズルがすごくてお腹すいちゃいましたよ。

  • もう頼んじゃう?
    だいたいナニマチなの?

  • まだ名執君が来てないんですよ。
    さっきカンパケたらしいですから、もうすぐだと思います。

  • そういえば藤森さんは?

  • ロケベン食べたし今日は遠慮するそうです。
    明日も朝から撮影らしいですよ。

  • テンキマツリのつもりで来ればいいのにね。

  • 僕もそう言ったんですけど「明日はブツドリだから関係ない」って否定されましたよ(笑)

  • じゃあしょうがないか。
    それにしてもいい内装だね。このままハウススタジオにできちゃうんじゃない?

  • このテーブルとかナメルと良さそうですね。

  • いいねえ。
    あと、この辺にパンサー入れてね。

  • でも狭いんでステディとかの方が現実的かもしれませんね。

  • そうかもね。
    ところで今日は何時までOK?

  • タクケンもないんで、終電までにはバレます。

シズル

食欲や購買意欲をそそるような映像や効果音のこと。
肉がジュージューと焼けて肉汁がしたたり落ちているような状態を表す「sizzel」という単語が語源だが、現在では食品に限定せず、臨場感あふれる表現について幅広く使われる。

何待ち

多くのスタッフが同時に作業を行っている撮影現場では、他の部署の進捗状況まではリアルタイムに把握できないことが多い。
そこで、自分の部署の作業は完了しているのに撮影がなかなか始まらないときに、他のどの部署が準備ができていないのかを尋ねる質問として、「何待ち?」という言葉が撮影現場では飛び交っている。
また、汎用性が高いため、業界人は日常生活でも使いがちなフレーズである。

完パケ

完全パッケージメディアの略。
全作業を終えて完成した映像のこと。完成原版、マスターも同義。転じて動詞化し、全作業を終えることを「完パケる」「完パケた」と表現することもある。

ロケ弁

撮影時に用意される弁当のこと。
ロケ撮影だけでなくスタジオ撮影でも基本的に用意される。 いかに美味しい弁当を手配できるかもプロマネの腕の見せどころである。

天気祭り

晴天を祈って行う祭り。
ロケ撮影の成功を祈るあまり、自ら進んで酒神に身を捧げるものも多い。

物撮り(ぶつどり)

商品など、人や動物ではないものの撮影のこと。
演者の体力という概念が無いため、また、商品の見せ方というCMの最重要ポイントのひとつであるため、スタジオでじっくりと時間を掛けて撮影されることが多い。
スタッフの体力には当然限界があるため、忍耐力を試される厳しい作業になることも多い。

ハウススタジオ

一軒家やマンションの一室など、住空間に近いかたちのスタジオ。
基本的に家財道具があらかじめ揃っているが、機材の搬入や電力などの面で一般的なスタジオと比べて制約を受けることが多い。

ナメル

味をみるために舌でなでること、ではない。
被写体の手前に何かを置いて撮影すること。
例えば、この会話では、グラスを手前に置いて、奥にあるものを撮影することになる。

パンサー

体長130-190cmのネコ科の動物、ではない。
パンサー社が販売するドリー(カメラを水平移動するための台車)の一種。
オプションパーツに拠る高いカスタマイズ性を持ち、上下移動も含めコンピュータ制御できる。

ステディ

ステディ・カムの略称。
「恋人」の意味の英語、ではない。
カメラマンがカメラを持って歩く際の、手ブレを抑える装置。
専用のベストを装着し、腰の前に伸びた縦向きの棒の上にカメラを載せる。
この装置がないと手持ち撮影の映像が揺れて、見ている人は船酔い状態になる。

タク券

タクシー券の略。タクシーチケットとも。
バブル華やかなりし頃には、無尽蔵に使えたという都市伝説もあるが、今やその存在を見たものもいない。

ばれる

その場を去る、の意。
撮影時などは「(映ってはいけないものが)はみ出てしまっている、見えてしまっている」の意味でも使われるので、文脈での判断が必要。
会話にもあるように、最近では業界の宴会も終電までにはお開きになる。

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